不登校の原因を社会環境の変化から考えてみた
不登校全般
とても便利な世の中になりました。
夜中でもコンビニに行けばたいていのものは手に入ります。
ボタン一つで電話やメールのやり取りもできます。
なのに、孤独や人間関係に悩む人が増えているのは何故なのでしょう。
不登校という問題も、こうして発展した社会と無関係ではないように感じます。
最近、自分の居場所を見つけられないでいる子どもたちが増えてきています。
それは一体、なぜなのでしょうか。
社会の変化が不登校につながる理由とは?
社会が発展したことや、情報の伝達速度が変わったことで、人間関係にも変化が出てきました。
そこから不登校につながる主な原因を考えてみましょう。
① 友達や先生との関係の変化
インターネットやスマホが普及したことで、子どもたちの間でも、メールやSNSでのコミュニケ―ションが身近なものとなっています。
ですが、目に見えるいじめ以外にも、ネットの匿名性を通した嫌がらせの事案は増加する一方です。中には犯罪に巻き込まれる子どもも出てきているのが現状です。
学校の先生も、生徒がプライベートで使っているネットでのやりとりまで把握することは難しいため、なにか問題があったとしても気が付くのは難しいでしょう。
② 親子が一緒にいる時間が少ない
最近ではそろって家族が食事をしたり、テレビを見て会話をする時間は、少なくなっているようです。
ですが、一緒の時間を共有する機会が減ってしまうと、子どもが気軽に相談できたり、親が子どもの変化に気付くことが難しくなってしまうのです。
③ 勉強がわからない
個性が尊重される社会になったとは言っても、いまだに多くの学校では、クラスごとに指導する形式ですので、一人にかける労力は薄くなってしまいます。
勉強についていけない子にとっては、難しい授業を聞かなければならない教室に居場所を見つけるのは難しいでしょう。
④ 趣味や交流が行き過ぎる
メールやゲームは便利で楽しいものです。
ですが、のめりこみすぎて生活リズムを崩したり、予期せぬトラブルに巻き込まれることもあります。
ストレスに耐えきれず心理・精神的な症状に悩む子どもたちも出てきています。
フリースクールなどの第三の場所も利用してみよう
子どもたちを取り巻く環境は社会の発展に影響されます。
ですが、環境の変化に自ら対処していく能力も生きていくには必要でしょう。
この力を育むには、自分の居場所がなければなりません。
そして、不登校の子どもたちにとって、家庭や学校の他にも居場所を確保していくことは精神的な安定を図るためにも重要です。
親や学校の先生には話しにくいことでも、フリースクールやフリースペースの人になら話せる、といったこともあるかもしれません。
もし、子どもの不登校に悩んでいたら、こうした機関に相談してみるのもひとつの手ではないでしょうか。
このコラムの著者
星野有史
1963年さいたま市生まれ。ベーチェット病により17歳で光を失う。1993年明治学院大学大学院博士後期課程単位取得。1989年よりアイメイト(盲 導犬)と歩行し、看護・福祉の専門学校、短期大学等で講義を担当、同時に福祉教育活動家として執筆・講演に勤める。現在、「ハーネス・ウィ研究所」の代表 講師として、人間力育成セミナー(通信制フリースクール)・福祉講演会等、幅広い分野で活躍中。著書に「夢をくれた盲導犬」ポプラ社「しっぽのはえたパー トナー」法研「盲導犬ミントの子守歌」ポプラ社「盲導犬キースのヒト観察記」相川書房「これからの福祉心理学」(共著)北大路書房他がある。
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