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本当に必要な支援を当事者目線で考える! ひきこもりUXフェスVOL.2 レポート③

取材

2018年03月29日

2018年2月25日、東京都・青山にて「ひきこもりUXフェス VOL.2」が開催されました。

このイベントは、元・ひきこもり 元・不登校の経験を持つ数名で構成された「一般社団法人ひきこもりUX会議」が、固有の体験を持つ当事者一人ひとりが集まる場所として開催したものです。

「ひきこもり女子会」や「不登校新聞&ひきポス 編集会議」など、さまざまなイベントが行われた今回のフェス。この記事では、多くの知識が共有されたホール会場の内容と、主催者のコメントを紹介していきたいと思います。

元当事者が発起人!? どんな内容? 安心して行けるの? ひきこもりUXフェスVOL.2 レポート①

 

ひきこもり女子会と公開編集会議に潜入! ひきこもりUXフェスVOL.2 レポート②

当事者の声から考える支援の形

『ルポ 貧困女子』を著書に持つ飯島裕子さん、大阪の市役所で若者・就労支援を行う濵政宏司さん、横浜市の男女共同参画センターで支援を行う小園弥生さんが登壇。それぞれの立場から、現在行っている支援や、必要な支援の形についてのパネルトークが行われました。

飯島さんは、当事者女性の調査データなどを用いて、どんな問題から女性たちが貧困、そしてひきこもりとなるのか、そしてそういった女性への支援が少ないことや、当事者が「助けて」と言える場の必要性など、当事者支援の課題を訴えました。

濵政さんは実際に行っている支援方法などを紹介しつつ、「ゴールは当事者が決める」「支援者の限界を知る」ということに気をつけて支援していると語りました。支援者の思うゴールと、当事者が快適と思うゴールというのは違うので、単純に就労することだけをゴールとするのは違うということを、身を持って学んだそう。

最後の小園さんは、「『相談』は自分の悩みを言語化しないとできないので、意外と難しい。だから、興味がある市民講座などから就労支援講座に移行してもらったり、団体が運営するカフェで段階を追った就労体験に参加してもらったりしている」と語りました。支援講座への参加者からは、「同じ悩みを抱えた仲間に出会えた」「自分にあった支援もあるのかもと思えた」といった反響があるそうです。

 

ひきこもりや不登校の支援というと、「支援される人」と「支援する人」という構造になりがちです。しかし、それによって当事者が「支援者はすごいし輝いている。でも自分は何もできない被支援者なんだ…」といった感情になる場合も少なくありません。

支援する側は、あくまでも「支援が必要な人のための存在」。自分の実績や、目に見える成果、自己実現などを追求していないか。その支援は本当に当事者が望むものなのか。そういった視点で、時々振り返る必要があると感じたセッションでした。

生きる技法 ひきこもりは正常である!

照明も明るくなったホールでは、”女装する東大教授”として注目を集めた安冨歩さんに、参加者の悩みを相談するという参加型トークイベントが行われました。机の前の紙に、イベント参加者がそれぞれ抱えている悩みが事前に貼られています。

  • 会社員その他になりすまさない生き方は、ひきこもりではないですか
  • 生きる意味がわからない
  • これからどうしたらいいですか

など、さまざまな質問がされましたが、安冨氏の回答は「狂っているのは社会の方。ひきこもりは正常!」というものでした。

安富氏は、生きることを楽しむことが「生きる意味」であるとし、どうしたら楽しく生きられるかは、人間として最低限の快楽である、「寝られたら気持ちい」「空腹の時にご飯を食べたら気持ちいい」などの快楽を、ひとつひとつ味わうことが大事と語りました。

また、「これをせねばならぬ!」と思うのは、自己嫌悪からきているとし、それは親や学校、社会で植え付けられたものであるため、逆に「ひきこもりであらねばならない!」というような気持ちで日々を満喫すれば、別の方向に向かっていくとまとめました。

生きづらさや孤独を解放し、人生と社会をリデザインする

最後は、今回のイベントを開催した、NPO法人ひきこもりUX会議の運営メンバーから、参加者にメッセージが送られました。

今回発信されたメッセージ、『生きづらさや孤独を解放し、人生と社会をリデザインする』
これは、自分の苦しみや辛いと感じること、置かれた環境やバックボーンなどを他者と共有(解放)することによって、そこから自分の人生や、社会システムを変えていこうという意志を表しています。
「そんな個人が抱える生きづらさを、立場を超えて持ち寄り集える場所をこれからも作っていきたい」、そうメンバーの皆さんが語りました。

 

最後に、ひきこもりUX会議理事でもあり、一般社団法人コヨーテの代表も務める、川初真吾氏にお話をうかがいました。

── 今回、参加型の催しが多かったと思いますが、当事者の方の参加具合はいかがでしたか?

川初さん 「なごやかにそれぞれ話しができていたと思います。やはり、この場では相手のことを否定しないというルールがあることや、当事者同士なので言葉が出やすい、共感が広がりやすいということなのではないでしょうか」

── 「女子会」や「セクマイ(セクシャルマイノリティ)会」など、横のつながりができる会が多かったのも、共感に繋がったのかもしれません。

川初さん 「そうですね。ただ、今後はそれぞれの立場を超えてシャッフルされた場があってもいいのかなと、個人的には思いました」

── そのほか、今後チャレンジしたいと思っていることはありますか?

川初さん「まだ何か決まっているということはないのですが、今は当事者ファーストでやっているが、今後は行政や企業などともフラットに繋がっていければ、とは考えています」

 

ひきこもりUX会議では、今後もひきこもり女子会などの当事者イベントの開催予定があります。詳細は、オフィシャルサイトをご確認下さい。

リンク)
一般社団法人ひきこもりUX会議

このコラムの著者

futouko-navi-logo不登校サポートナビ 編集部