【専門家監修】子の性格は親が決めている? 親子関係が変わるリフレーミングを試してみよう
小学生
子どもが親から見てもどかしい状況になった時、もっと強くなって欲しい、積極的になって欲しいというような気持ちから、「気持ちが弱い」とか、「内気な性格を直さないとね」などと、ついつい子どもに注意することがあるかもしれません。
しかし、そう言われた子どもが、よーし強くなろう! 積極的になろう! という気持ちになることは少なく、性格も変わらない場合がほとんどです。むしろ、親が言った言葉がレッテルとなり、その言葉通りの性格になるよう背中を押してしまうことも。
ほかにも、親の言葉で自信を失い、こんな性格にしたのは親のせいだ! と親に対する怒りに変わってしまうこともあるのです。
注意するだけで子どもが変わるなら、世の中に教育本はこんなに溢れていないはず。なのに、なぜ子どもの成長に効果が少ないにも関わらず、親や先生は子どもの問題を「性格」のせいにして注意してしまうのでしょうか。
親が頑張り屋だから、子どもも頑張り屋でなければならないとは限らない
親は、子どものために色々なことをやってあげているでしょう。食事を作ったり、学業への支援をしていたりと、努力しています。
しかし、子どもが登校したがらない、友達ともめた、勉強をしないなど、なんらかのトラブルを抱えてしまうと、「自分はこんなに子どものために頑張っているのに、うまくいかないのはこの子自身に問題があるからだ」と、無意識に責任を転嫁してしまうことがよくあるのです。
しかし、実際には子ども自身に問題があるわけではなく、子どもがトラブルへの対処方法が分からないだけということもあるでしょう。
こうした「子どもの性格のせい」という考えは、真面目な親や先生がなりやすい傾向があります。
なぜかは解明されていませんが、「ちゃんとしなきゃ」と真面目に今まで頑張ってきた自分自身に子どものトラブルの原因があると認めたくない気持ちがある。あるいは、辛くても頑張ってきたからこそ今まで上手くやれてきた、という自分の経験から、真面目にやるのは当たり前になのに、子どもはちゃんとできていない=頑張りが足りないからだ、という思考になってしまうのかもしれません。
ですが、親や先生が100%順応できたからといって、別の人(子ども)ができる、あるいはしなければならないというわけではありませんよね。また、上手くいかないからといって全て子どもの性格のせいにしてしまうと、子供はますます自信がなくなり自尊心が低くなります。
ここで、子どもの悪いところを見つけてしまうネガティブ思考を少し柔軟にするために、簡単なワークをやってみましょう。
リフレーミングのワークでネガティブ思考をリセットしてみよう!
リフレーミングとは?
子どもの絵でも、立派な額に入れればすごい絵に見えてくる。つまり、フレームを変えて別の視点から考え、中身の印象を変えること。
それでは早速、以下の10個の性格をポジティブ(良い)印象の言葉に直してみまししょう。
- 例:引っ込み思案 → 慎重なところがある、石橋をたたく、状況を読む など
- 怒りっぽい →
- 冷たい →
- 人見知り →
- おおざっぱ →
- 落ち込みやすい →
- 愛想がない →
- 頑固 →
- 行動が遅い →
- わがまま →
- 計画性がない →
いかがでしたか?
スムーズにできないという方は、少し固定観念に凝り固まってしまっているのかもしれません。
性格は良い悪いではなく「特性」
リフレーミングで感じて頂けたかもしれませんが、性格とは良い性格も悪いと言われている性格も、実は表裏一体なものです。
「正義感が強い」という性格も、場面が変われば「相手に考えを押し付ける」と出てしまうように、一見良いと思えることが別の場面では悪く出たり、その逆で悪いと思われることが良く出たりするのです。
ですから、子どもの行動は一概に悪い性格のせいだと決めつけずに、子どもが困ったり、トラブルを抱えてしまったりした時には、性格を良い面から見てあげ、次のようにアドバイスをしてみてください。
おとなしい性格の子が授業中発言できなかった場合
「授業中、全然発言しなかったね。おとなしすぎるよ」とおとなしい性格を指摘した場合
→ 子どもは自信を失い、発言しなければという強迫観念から、緊張して更に意見を言えなくなってしまうかもしれない。
「人の意見に耳を傾けるのはとてもいいね。質問している人は色んな意見を求めてる場合もあるから、そういうときは、もし言えるようならあなたの意見も言ってみたら?」と、性格を褒めつつ、具体的なアドバイスを行った場合
→ 子どもも「そうか」とすんなり理解できる。
まとめ
親の一方的な考えで、子どもの行動に◯✕をつけるのは簡単です。でも、それでは子どもは「自分そのもの」に対して自信を持つことができません。目立ったトラブルが起きなかったとしても、自分に自信を持たず、人の評価を必要以上に気にする子が、のびのびと生きていくことができるでしょうか。
何か起きても、親はとにかく子どもに寄り添ってみましょう。「あなたのこういう所、とても素敵な部分だよ」とか「確かに、不安になるね」というようにです。その上で、「こういう風にするともっといいかもしれないよ」と具体的にできそうな解決方法を伝えてみると、子どもは自分の特性に合わせた解決策を学んでいけるでしょう。
(文・きたざわあいこ/クリスク)
原案・監修
渡辺弥生
法政大学文学部心理学科教授。教育学博士。
子どもの社会性や感情の発達について研究。子どもたちの問題行動への関わり方や解決方法についてプログラムを実践中。
主著に「子どもの10歳の壁とは何か(光文社)」「親子のためのソーシャルスキル(サイエンス社)」など。
【リンク】
法政大学 文学部 心理学科 渡辺弥生研究室
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