行動や持ち物から、話してくれない子供の気持ちを探ろう
中学生
朝、起きるよう声をかけても子どもからの返事はありません。
そんな時、学校へ行かない理由を聞いても答えないのはなぜでしょう?
中学生の子どもを持つ親は、何とか理由を聞き出し登校させたいと思うでしょう。
ですが、思春期の子どもにとって、親や先生は、最も自分のことを知られたくない相手なのです。
では親は、そんな時どう対応するべきなのでしょうか?
話さずとも子どもを知れる、非言語的コミュニケーションとは?
「うちは親子関係が良くて、先生も信頼できるので大丈夫」などと、自分の子どもは大丈夫と思いこんでしまうのは危険です。
実際に、いじめられていても、親に心配をかけないように秘密にしているケースも多いのです。
そして、ある日突然、子どもが学校へ行かなくなってから、初めて何かあったことに気づいたりするのです。
そうなってからでは、子どもの口から不登校の原因を聞き出すのはより一層難しくなってしまいます。
では、話してくれない子供から、問題解決のために少しでも情報を得るためには、どうしたらよいのでしょう?
そこで活用してほしいのが“非言語的コミュニケーション”です。
あまり耳にしない言葉だと思いますが、服の汚れ、お金の使い方、態度、においなど、言葉の内容以外から受ける印象のことをいいます。
① 服の汚れ
最近では直接的ないじめは少なくなっているといわれますが、それでもまだ暴力や肉体的なふざけ合いが伴ったいじめは存在します。
その場合にサインが表れるのは外見=衣服です。
学生服は勿論ですが、ジャージや私服でも泥や砂などが付着している、ボタンがよく取れている、服の一部が切れている、といった状態が見られる場合には、いじめられている可能性があります。
また、同時に顔や手など、身体にも傷がないか確認してみましょう。
身に付けている物をなくしたりする場合も、注意が必要です。
② お金の使い方
中学生にもなると、生活スタイルの変化が、お金の使い方に現れるケースが多くなります。
子どもが頻繁に、参考書を買うとか、模擬試験を受けるなど、お金が欲しいというケースが多くなった場合は注意が必要です。
実際には、いじめがエスカレートして金銭を要求されていたり、悪い友達といっしょにいるために金遣いが荒くなっている、といった行動が隠れている場合があります。
ひと月にどれぐらいのお金を使っているのか、日ごろから注意して見ておくようにしましょう。
ただ、何かに気づいても非難するのではなく、事情を認めることから始めましょう。
③ 態度や顔つき
単純に反抗期に入ったため変化したなどのケースもありますが、何かストレスがかかるような状態になったとき、多くの子どもは態度に何かのサインが表れます。
具体的には、急に無口になる、顔つきがキツくなる、家に帰ってくる時間が変わった、家に帰ってきても直ぐ自室に行ってしまうなど、今までにはないような態度を取り始めたら注意が必要です。
④ におい
意外に見落としがちなのが「におい」です。
ご両親も気づきにくいということは、子ども自身も気づかず対策などをしていないことが多いです。
「部活で遅くなるといっていたのに汗臭くない」、「ちょっと外に出て帰ってくるとタバコの臭いがする」だったり、女の子であれば使っている化粧品や香水のにおいが不自然に高い製品に変わった、などの状況が考えられます。
成長の一段階であればまだしも、場合によっては危険なことに巻き込まれている可能性もあるので注意してください。
親の気持ちも、非言語で伝えられる
このように、言葉以外でも子どもを知るきっかけになることは沢山あります。
逆に、子どもにどんな声をかけるべきかと迷ったときは、親からも非言語で伝えられることはあるのです。たとえば、服をきれいにアイロンがけしてみる、部屋を癒される香りに変えてみる、心を込めたお弁当を作ってみるなど、家庭内のちょっとしたことでも、親の愛情を子どもに伝えることはできます。
子どもが何か問題を起こしたときに、理由を言ってくれなくても、「あなたの味方だよ。
心配しているからね」といった気持ちを親からも伝えられれば、子どもは安心し問題に向き合うことができるでしょう。
このコラムの著者
星野有史
1963年さいたま市生まれ。ベーチェット病により17歳で光を失う。1993年明治学院大学大学院博士後期課程単位取得。1989年よりアイメイト(盲 導犬)と歩行し、看護・福祉の専門学校、短期大学等で講義を担当、同時に福祉教育活動家として執筆・講演に勤める。現在、「ハーネス・ウィ研究所」の代表 講師として、人間力育成セミナー(通信制フリースクール)・福祉講演会等、幅広い分野で活躍中。著書に「夢をくれた盲導犬」ポプラ社「しっぽのはえたパー トナー」法研「盲導犬ミントの子守歌」ポプラ社「盲導犬キースのヒト観察記」相川書房「これからの福祉心理学」(共著)北大路書房他がある。
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