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小中一貫教育が公立でも実現! 「義務教育学校」のポイントまとめ

小学生

2015年に学校教育法改正案が国会で成立し、小中一貫教育を実現する新しい学校の種類「義務教育学校」が2016年度からスタートしました。

この義務教育学校とは、いったいどんなものなのか? メリットやデメリット、成立した理由など、気になる内容をポイントごとに見ていきましょう。

義務教育学校になると何が変わるのか?

① 学年の区切りが変わるかも

これまで一般的だった小学校6年間、中学校3年間の「6・3制」という義務教育の学年の区切りを、市区町村教育委員会などの判断で「4・3・2制」「5・4制」などに変更できるため、義務教育学校では学年の区切りが変わる可能性があります。

② 小中の校舎が一緒になるかも

小中学校の校舎が別々の場所にある「施設分離型」と、小中学校が同じ敷地内にある「施設一体型」の2つのタイプがあります。「施設分離型」は、校舎は離れていますが、先生同士が互いの授業を担当したり、9年一貫で考えたカリキュラムを編成したりして、校舎の違いによるギャップを少なくする仕組みを取り入れています。なお、2016年度に始動した義務教育学校は、13都道府県で22校。そのうち8割強が「施設一体型」となっているようです。

③ カリキュラムが変わるかも

各地域や学校の判断で柔軟にカリキュラムを組むことができるので、中学校で習うはずだった内容を小学校に前倒すことや、学年を入れ替えた学習が可能になります。

義務教育学校のメリット

小中一貫教育が公立でも実現!「義務教育学校」のポイントまとめ1-2

① 環境の変化からおきる「中1ギャップ」などを防げるかも

小学校から中学校に上がると、環境ががらりと変わります。小学校ではすべての教科の授業が同じ先生だったのに、中学校では教科ごとに先生が変わるようになり、この変化だけでもストレスを感じ易くなります。また、新たな人間関係を築くことに疲れを感じる場合もあるでしょう。こうしたきっかけから、学校に馴染めない、学習につまずく、不登校になる、いじめが起きるなどの現象、いわゆる「中1ギャップ」が起こることに。義務教育学校では、学年の区切りを変えることで、小学生から中学生へ段階的にステップを踏めるよう工夫することが可能になるため、「中1ギャップ」を防ぐ効果が期待されています。

<参考>親の半分が知らない中1ギャップ、そのサインと親が出来ること

② 学習のつまずきを軽減できるかも

中学校の教員が小学校の授業をすることも可能になるため、算数など、つまずきやすい教科を専門の先生が教えることで理解しやすい環境が生まれます。また、小学校における指導方法を中学校へ入学したあとも一定期間継続することにより、学習内容が難しくなってもきめ細かな生徒指導ができると考えられています。

③ 異年齢での関わりが増え精神的な成長に繋がる

小中学校合同の運動会、遠足、生徒会、集会等、異年齢での関わりや、多様な教職員との関わりが増えることで、人間関係の固定化・悪化から生じやすい不登校やいじめを防ぐことができるほか、自己肯定感を高める効果も期待できます。

④ 教師同士の連携が取りやすい

学校によっては、小学校のうちから教科担任制を取り入れたり、中学校の教員が小学校の授業を教えたりと、小中学校段階の垣根を越えた教職員の取り組みもできるように。
9年間を通して生徒と関わることで、生徒への理解を深め、指導方法などを見直し、教員同士が協力しながら生徒を見守る体勢を作ることが可能になります。

⑤ 試験段階ではこんな効果が

特別指定学校として、すでに小中一貫教育を取り入れていた学校による報告では、上記のような意見が上がってきています。この他、教師の負担も少し軽減できているなど、学校側としてのメリットもあるようです。

課題とされていること

小中一貫教育が公立でも実現!「義務教育学校」のポイントまとめ1-3

① 教師の免許問題

教員は、小学校と中学校両方の免許を持っていることが必要になります。ただし、免許があるからといって、小学校の先生が中学校でスムーズに指導できるとは限らず、研修制度の充実なども課題になりそうです。

(制度開始から当分はどちらか一方の免許でよいとする前提措置がとられ、小学校免許で前期課程、中学校免許で後期課程の指導が可能とのこと)

② 義務教育学校ではない学校との格差

これまで通りの小学校や中学校も残っているため、地域によって学制が異なることの混乱や、学校間での格差、学力の差が生まれるなどが起こる可能性があります。また、転校などで義務教育学校とは異なる学校から移ってきた生徒へのフォローアップ体制なども課題と言われています。

まとめ

2016年度より義務教育学校が開始されたのは、子どもたちをとりまく環境の変化に応じて、柔軟に制度を変えていこうとする革新的な試みと言えます。こうした取り組みは、今後ますます社会全体に広まっていくのではないでしょうか。

【参考:「義務教育学校」に先駆け、全校を小中一貫にした理由/新・公民連携最前線 PPPまちづくり

このコラムの著者

futouko-navi-logo不登校サポートナビ 編集部