既婚者・家事手伝いでも「ひきこもり」 女性に特化した実態調査を発表
特集
2018年03月7日
ひきこもり女子会を全国で開催する当事者団体、「ひきこもりUX会議」が、2月25日に東京で開催したイベント「ひきこもりUXフェスVol.2」で、女性のひきこもりに特化した調査結果を発表した。
イベント会場のほか、インターネットや郵送などで369名の性自認女性を対象として行った調査結果からは、今まで「女性」であるがゆえに見えにくくなっていた実態が浮き彫りとなった。
40代以上が全体の約半数
内閣府が2016年に発表した調査『若者の生活に関する調査報告書』では、「若年層とはいえないため」という理由で、40歳以降の調査結果が除外されている。しかし、今回の調査ではあえて年齢を制限せずに調査された。
※内閣府は2018年度に40~59歳のひきこもり調査を行う予定だと発表されている
その結果、アンケートでは[20歳未満:1.9%][20代:20.1%][30代:32.7%][40代:32.7%][50歳以上:12.7%]となり、40代以上が全体の45.4%と約半数を占める結果となった。
また、ひきこもり年数についての調査では321名が回答。[1年未満:16.2%][1~3年:19.7%][3~5年:14.6%][5~10年:23.6%][10年以上:25.8%]と、5年以上ひきこもり状態が続いている女性が約半数となった。
長期間に渡るひきこもりの中で、親や家族の体調が悪くなり『介護要員』とされる当事者も多い。しかし、介護について行政に相談できないことから支援を受けられない、介護が大変で自分の将来も不安だが相談に行くこともできない、など精神的・肉体的な負担に苦しむ声も当事者からは聞かれるという。
「ひきこもり」は男性のもの?
前出した内閣府が行った調査の定義では、統合失調症や、専業主婦や家事手伝いをしている人などはひきこもりとは定義されない。しかし、今回の調査では、25%の女性が既婚者だと回答。そのうち、現在ひきこもり状態だという女性は51.7%だった。
ひきこもり当事者に関わらず、自ら希望し専業主婦や家事手伝いをしている人は多くいる。
しかし、その状況に不安を覚えている女性、そうせざるを得ない状況にある女性に対し、女性は社会に出なくてもよい、という昔ながらの価値観から「専業主婦」「家事手伝い」といった名前を付けて、存在を無視していては、本当に当事者が望む支援につなげることはできないのではないだろうか。
ひきこもりだけではなく、女性の家事労働、社会参加についても考えさせられる結果となった。
おわりに
イベントの主催者であり、自身も社会人から2回のひきこもり体験をしている、林恭子さんは、「自分が働けていない、働けるようになると思えない時には、本気で餓死するんじゃないかと思っていました。でも、それは今薄らいでいます。それは、助けてと言えるようになったから。それが言えれば、死ぬことはないんじゃないかというふうに今は思っています」と語った。
男女問わず、誰もが外側から価値観を押し付けれられるのではなく、自分の感覚で「私は苦しい」と言える、そんな環境や支援が必要とされている。
※今回のアンケート調査の詳細や考察は、2018年3月末に同団体から冊子化される予定。詳しくは公式WEBサイトをご確認下さい。
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ひきこもりUX会議
このコラムの著者
不登校サポートナビ 編集部
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