「学校がつまらない」から、 やりたいことがやれる桜丘学園高等部への転入ストーリー
取材
2017年03月16日
2017年2月22日、専門学校ファッションカレッジ桜丘のファッションショーが行われました。この専門学校の関連学校である桜丘学園高等部は、ファッションやアニメなどを学べるコースのある通信制サポート校。
そんな高等部の学生さんもショーを見学しに来ていたので、話を聞いてみました。
▼ お話しをしてくれた生徒さん
庄野さん
全日制高校から2016年1月に転入
田中さん
単位制高校から2016年4月に転入
はきはきしていてオシャレな2人は幼馴染。共に全日制・単位制高校からの転入なのだそう。桜丘学園高等部への転入には一体どんな経緯があったのでしょうか?
楽しくない、やりたいことができない学校生活
── 2人とも転入ということですが、そのきっかけは何ですか。
庄野さん 「前の学校ではやりたいことが全然できないし、友達もできなかった。それに先生もあまり好きじゃなかったのもあって、桜丘に転入しました」
田中さん 「私は、友達と上手く行かないとかではないけど、ただ単位を取りに学校に行ってるみたいで、学校が全然楽しくなかった。それに自分が興味のあるものをやりたくて、色んな人に転校先を聞いて桜丘に転入しました」
── たくさんある学校の中から、なぜ桜丘学園高等部を選んだのですか?
庄野さん 「新設されて間もないから※、生徒数も少ないかなと思って選びました。友達を作りたいとかではなく、やりたいことがやれそうと思って選びましたが、結果的に友達もできたしやりたいこともやれてるので、良かったです」※桜丘学園高等部は2012年に開設
田中さん 「服飾について学べるところと、幼馴染の庄野さんがいたので大丈夫かなと思いました」
── 実際に入ってみて、どんな学校でしたか?
庄野さん 「思ったより楽しい、という感じです(笑)。当たり前かもしれないけど、前の学校は髪も染めちゃダメだし、ケータイもダメ。タイツでも怒られるし、スカート丈も長くないとダメ。カバンも靴も指定されてて、校内を走るのも理由なくマスクしてるのもダメ。やりたいことを全部否定されてる気がして、1年間は我慢したけど、2年生になってあまり行かなくなっちゃったんです。でも、桜丘では怒られないし、本当に過ごしやすいです」
田中さん 「桜丘はアットホームで居心地が良いですね。前の学校も校則は厳しくなかったけれど、先生も生徒も深く関わろうとしない雰囲気でした。友達といても楽しくないし、先生と話もしないし、学校が全然楽しくなかったんです。でも桜丘はとにかく仲が良くて、先生とも生徒同士でも色んなことが話せるし、共感できます。それはダメ、など頭ごなしに否定もされないし、友達とぶつかったこともあるけど、根は優しいって分かるくらいの関係性ができあがっていたから、大丈夫でした」
英語の先生と3ショット!
作ってみたから分かった 服を作る楽しさ難しさ
── 2人はファッションショーでの発表もされたそうですが、服作りは経験があったのですか?
庄野さん 「なんとなく自分ではやっていたけど、習うのははじめてでした。学校では、裁断や製図とかは先生が素材を用意してくれるし、丁寧に教えてくれたので、イチから作るというところまで専門的ではないけど、服ができる流れは分かるようになりました」
田中さん 「自分でも簡単なポーチとかリボンを作っていたけど、服はどうやって作るのかわからなかったです。私が入学した時は、ショーまで時間がなかったのですが、先生がつきっきりで教えてくれたので、進みも早く最後までちゃんと作ることができました」
── 服作りははじめてだったんですね! 最初の作品から満足のいく作品は作れましたか?
庄野さん 「私も、最初の作品はショーまで時間がなかったので、簡単なデザインにしたんです。でも、作ってる途中でイメージと全然違う! と思い、完成はさせたけど途中で投げやりになってしまいました。でも今作ってる2作品目は、自分で着るものだし時間の制限もないから、絶対に投げやりにするのはやめよう! って思って作っています」
田中さん 「私も全然イメージと違いました! 1作品目のときは、まだ服の構造も分かっていなかったから、デザインしたものがなんでもその通りにできると思ってたんです。でも2作品目は、ここは難しいとか、この生地は値段が張るな…などが分かってきました。でも、先生は『これは難しいからダメ』などと言わないし、自由にやらせてくれました。自分で実際やってみることができたから難しいって気づけたし、本当に優しい学校だなと思います」
桜丘に通ったからこそ、こういう選択になったんじゃないかな
── 高等部の卒業後は、どういう進路を選びましたか?
庄野さん 「私は付属のファッション系専門学校に進学します。もともと高校卒業後は専門学校に行こうと思って、中学生の時から学校を探していました。通信制も専門学校への進学を支援してくれるところがいいなと思ったので、桜丘を選びました。推薦枠で入れるし、先生も知ってる人が多いので、余計な不安を持たずに3年間しっかり勉強したいと思います」
田中さん 「私は英語の勉強がしたいので4年制の大学に行きます。というと全然ファッションと関係がないように聞こえるけど、桜丘でファッションの勉強をしてみて、海外にファッション留学したいと思うようになりました。服作りは自分でやったり、週に1回服飾の学校へ行ったりもできるけど、英語は自力ではできないと思って、英語を学ぶために大学に行くことにしました。服飾の技術も全然足りてないけど、留学に行ける状態まで自分を整えたいと思っています。桜丘に通ったからこそ、こういう選択になったんじゃないかな」
── これから通信制高校を選ぶ人に、何かメッセージをお願いします
2人 「1人で勉強するのが苦手なら、レポート作成をちゃんと手伝ってくれる学校を選ぶことも大切だと思います。通信制に行こうって思った時、レポートが大変だからやめとけ、とたくさんの人に言われました。自分もそれが嫌だな、と思っていたけれど、桜丘ではレポートもマンツーマンで教えてくれるし、分からなければ先生にいつでも相談できたので、やりたいことやりながらでも、ちゃんと勉強もできましたよ」
取材後記
「やりたいことをやる」と言うのは簡単ですが、実際に行動に移すことはとても大変ですよね。でも2人は、全日制や単位制から通信制に転入する際も、他の人に相談したり自分で学校を探したりと、行動して桜丘学園高等部という選択肢を見つけています。
入学後も、ここが難しいから次はこうしよう、自分はこういうところが弱いからこうやって改善しようなど、完璧じゃない部分を、チャレンジするきっかけにしているということが、とても印象的でした。
次回は、すでに高等部から専門学校へ進学し、ファッションを追求している先輩のお話しと、専門学校ファッションカレッジ桜丘でどんな作品が作られているのか、ショーの様子を紹介したいと思います。
【取材協力】
桜丘学園高等部
JR総武線「飯田橋駅」東口・徒歩3分
このコラムの著者
きたざわあいこ
株式会社クリスク ライター
北海道出身。中学時代に約2年間いじめにあい不登校になりかける。高校では放送部に熱中し、その後大学へと進学。上京してはじめて、学校以外の居場所や立場の違う人と接し、コミュニケーションについて考えるように。現在は自分の経験を活かし、子供の悩みや進学に関する悩みについての記事を執筆。
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