■子どもの不登校による「離職」は5人に1人
「NPO法人キーデザイン」(宇都宮市)が、「子どもの不登校が親の仕事や家計にどう影響を与えるのか」をテーマに調査を行いその結果を発表しました。
調査は、2024年2月16日〜20日までの4日間、「NPO法人キーデザイン」子どもの不登校に悩む保護者向けのLINE相談窓口“お母さんのほけんしつ”内の3500人の利用者を対象に行われました。そのうち、376人から回答を得ました。
「子どもの不登校が保護者の仕事に影響しているか」という質問について、「退職した」が14.8%、「休職した」6%と、あわせると5人に1人が仕事から離れる決断をしていることがわかりました。
家計への影響だけでなく、保護者自身が社会とのつながりを失ってしまっている可能性があります。「特に変化はない」29.6%から、約7割の保護者の仕事に影響が出ていることがわかります。
仕事から離れる理由について、下記のようなコメントが寄せられました。
「小学生姉弟3人が不登校となり、さすがにそれぞれに付き添いや対応が働きながらは難しく、早退欠勤が増え辞めないと職場に理由を伝える辛さなどでどうにもならなくなってしまった。 収入が減るのは苦しいが、辞めて子供の側にいなくてはとも考えていたこともあり退職を選びました」
「気持ちに寄り添うため、パートをしている場合ではないと思いました。 毎日、送り迎えに時間がみえないから、働くのは無理でした。給食は食べられなくなっていたので、家で食べさせてまた、学校に送ったりもしていました。 私がやるしかないと、思っていました」
「行き渋りが始まってから、遅刻や欠勤が増えました。ある程度融通の効く仕事だったこと、また上司の理解もあったため、1年ほどはその状態で仕事を続けました。完全に不登校になってからは、さらに遅刻、欠勤が増えました。思うように仕事を進められず、職場に申し訳ない気持ちと、小学生の子どもを家に1人置いていく罪悪感を持ちながら過ごしていました。経済的なこと、職場環境や条件が良かったことを考えると辞めたくはありませんでしたが、これ以上子どもを1人にしてまで仕事を続けることはできないと思い、子どもと過ごすことを優先して、退職しました」
子どもの状況を考えると仕事を続けたくても辞めざるを得ないため、苦渋の決断をしている保護者が多いことがうかがえます。
■不登校による離職…家計へのダメージも
家計への影響について質問すると、「収入が減った」37.8%、「収入がゼロ・ほぼゼロになった」1.9%と回答が出ました。そのうち月8万1円以上の減収となったのは35.8%で、家計へのダメージがとても大きいことがわかりました。
夫婦間での連携がとれているかの調査のため、「夫婦間での相談ができているか」という質問をしたところ、
「満足に相談できている」と回答したのは22.6%でした。
「話はするが、満足のいく相談はできていない」45.5%、
「ほとんど・全く話はできていない」8.5%、
「意見の食い違いが大きいため、最近は相談をしていない」10.9%と回答が出ました。
さらに、「シングルマザー・ファザーである」は12.5%と決して小さくない結果が得られ、片親で仕事と家庭のことを毎日こなしながら、不登校の子どもを支えることは相当な苦労があると推測できます。
(略)
今回調査にあたったNPO法人キーデザインが運営する「お母さんのほけんしつ」は、全国の子どもの不登校に悩む保護者向けに無料LINE相談窓口です。
「NPO法人キーデザイン」は、「教育機会確保法が2017年に施行され、不登校は問題行動ではないことが言われるようになりましたが、学校にも家庭にも周知が満足にされておらず、学校復帰を前提に子どもに関わるようになるため、子どもはますます社会から孤立する現状があります。
全国的には『親の会』のような当事者同士の支え合いの取り組みが普及しつつあるが、より加速度的に支援が増えていくことが必要です。行政からの助成等も今後増えていくことで、孤立している親子が外とつながるきっかけを増やしていくことができるはず」とし、クラウドファンディングを活用した資金調達などを行っています。
(LASISA編集部)