福岡市は、不登校などで長期欠席する小中学生の実態や支援のあり方を有識者らがまとめた報告書を公表した。2009年度に1600人だった長期欠席者は年々増え、17年度に3千人を突破。18年度は3584人と過去最多を6年連続で更新した。保育所や幼稚園と小学校との連絡会議の充実や専門職を増やすことなどを提言しており、市教育委員会は本年度内にモデル校を選定し、対策や効果を検証する方針。
報告書は学識関係者や小児科医、スクールカウンセラーなどで構成する市登校支援対策会議が昨年11月から協議し、まとめた。不登校や病気などで年度内に連続または断続的に30日以上欠席した「長期欠席者」について、15年度と18年度を比べると、小学校は973人から1578人、中学校は1594人から2006人に増えた。小学1、2年の増加率が大きいという。
小中学生へのアンケートによると、学級で過ごす児童生徒の8割超が「学校に安心できる居場所がある」と答えたのに対し、フリースクールなど学校外施設で学習している場合だと「居場所がある」は3割にとどまった。学級で過ごす8割超は「授業内容に満足している」と回答したが、学級ではなく学校の別室で過ごす児童生徒だと5割に満たなかった。
報告書では、中学校区に1人ずつ配置している教育相談コーディネーター(旧不登校対応教員)を小学校にも置くのが望ましいとし、公民館など学校外での居場所づくり、スクールソーシャルワーカーの拡充も求めている。