岐阜県羽島市で不登校支援を行う一般社団法人「まなびのとびら岐阜羽島きょういくラボ」は今月、フリースクール以外の新たな“第三の居場所”として、子どもたちが地域の大人から学ぶ「まちなかスクール」の取り組みを始める。市内の企業の協力を得て料理やプログラミングなどさまざまな体験を提供し、主体的な学びや将来の目標づくりに役立ててもらう。代表理事の木下慎一朗さん(37)は「居場所の選択肢を増やし、全ての子どもを学びにつなげたい」と話す。
元小中学校教諭の木下さんは2021年7月、同市に絵本店を併設した個人学習塾を開設。学校に行っていない子どもの利用も多かったことから、同11月にフリースクール「ことのは」に移行した。「フリースクールだけでは解決できない困りごとがある」と今年4月には法人を立ち上げた。
まちなかスクールは、安心感を提供するフリースクールに、進学や就労といった将来について考える機会を補強するような位置づけ。「ただ『学校に行け』と言うのではなく、個人に合わせた学びの場を用意することが大事」と木下さん。不登校や保健室登校の子、学校には行っているが不安を感じている子どもたちが、興味がある分野の地元商店や事業所に行って学ぶ。食がテーマの初回は今月21日、市内の弁当店の店主を招き、調理実習を行う。
自身はフリースクール運営の傍ら、教諭経験を生かし、フリースクールの立ち上げ支援なども行う。法人立ち上げには「地域全体で子育てを」という思いがある。フリースクール利用料の補助がある自治体は全国でも少なく、ことのはでも過去に金銭的な理由で通うのをやめた子どもがいる。今後はまちなかスクールへの理解を広げて賛助会員を募り、将来的には提携するフリースクールへの利用料補助につなげたい考えだ。木下さんは「まちなかスクールで子どもたちが地域とつながりを持つのと同時に、支援の輪も広げたい」と語った。