ひきこもり状態にある当事者の社会参加を後押しするため、東京都江戸川区は2023年度、インターネット上の仮想空間「メタバース」に居場所を開設し、交流会を実施する。年間で6回開催する予定で、当事者はアバター(分身)で参加する。外出や対面でのやりとりが難しい当事者の「最初の一歩」を促す狙いがある。
交流会は実際の会場で開催し、同時にメタバースからも参加できるようにする。メタバース空間はNPO法人「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」(豊島区)のものを借りて開設。顔や名前を出すことに抵抗がある人でも利用しやすい環境とする。
交流会では同NPO理事の池上正樹さんをコーディネーターに当事者が決めたテーマを語り合う。ライブ映像を見ながらメタバースの参加者もアバターで意見を伝えることができる。区担当者は「『そこなら自分も集まってみたい』と思ってもらえる場所を提供したい」と語る。
区が21年度に実施したひきこもりの実態調査では、不登校を含めると区内に9096人の当事者がいることが明らかになった。
斉藤猛区長は記者会見で「メタバースをやったからといって全て解決するとは思わない。有効なのは一部の方だろう」とした上で、「対象となるのは部屋から出られない、人と交流していない当事者。何とか一歩出る後押しをしたい」と強調した。
第1回は6月に開催し、事前申込制で定員80人(メタバース50人、リアル30人)を予定。今後、区のホームページや広報誌で募集する。
(毎日新聞)