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義務教育・高校WGで学びの多様性を議論へ 中教審特別部会

中教審の「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会」は10月3日、第2回会合を開き、義務教育と高校教育のそれぞれの在り方を検討するワーキンググループ(WG)を新たに設置することを決めた。学びの多様性を実現する方策のほか、義務教育WGではオンラインの活用や学校教育になじめない子供への対応、高校教育WGでは全日制・定時制・通信制などの制度の在り方などを議論する。委員からはビジョンや理想にとどまらず、具体的な財源などを議論すべきだとする声や、好事例だけでなく、うまくいかない事例の検証を求める声があった。

「義務教育の在り方WG」では▽義務教育の意義(①豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となる子供たちに必要な資質・能力と学校が果たす役割②全ての子供たちの可能性を引き出す学びの実現)▽学びの多様性(①個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を通じた主体的・対話的で深い学びの具体化②多様性と包摂性に基づく学校文化の醸成③学びにおけるオンラインの活用④学校教育になじめないでいる子供に対する学びの保障)などを主な検討事項とする。

 一方、「高等学校教育の在り方WG」の検討事項は▽「共通性」と「多様性」の観点からみた高校教育の在り方▽高校制度の望ましい在り方(全日制・定時制・通信制、少子化が加速する地域など)▽「スクールミッション」「スクールポリシー」を体現し、「社会に開かれた教育課程」「探究的な学び」を実現するための校内外の体制▽文理横断的な教育、産業界と一体となった実践的な教育の推進――など。

今回の会合ではWG設置について、委員から多くの意見が寄せられた。今村久美委員(認定NPO法人カタリバ代表理事)は「ビジョンや理想を検討する会にとどまらず、何で実現するのかをちゃんと(現場に)下ろせるような議論の場でありたい。ここ最近、ビジョンについては審議がされているが、現場が運用できない、人もお金もないという状況。リーダーシップのある教育長がいればリソースを獲得して実現できるが、それに委ねていると地域間格差が生まれる」と指摘した。

また貞廣斎子委員(千葉大学教育学部教授)も「グッド・プラクティス(好事例)だけでなく、うまく行っていないところにむしろ目を向けていただきたい。何となく『教師がやっていないからだ』というぼんやりした分析ではなく、『教師はやる気だが、こういうものが決定的に足りていない』など、優先順位を付けながら必要なリソースを確保するための議論をする必要がある」と述べた。

高校教育については、不登校経験者が通信制高校を選んだり、全日制から定時制・通信制に転学したりというケースが相当数あることを踏まえ、奈須正裕委員(上智大学総合人間科学部教授)が「通信制・定時制高校に多くの子供がある意味で『逃げ込んでいく』という現状、そうせざるを得ないお子さんの現実があるということは、逆に言えば全日制、あるいは普通科が全く対応できていない部分がかなりあるのだろう。うまく行っていないのはなぜかを明らかにして、サポートしていくことが必要だ」と語った。

さらに堀田龍也部会長代理(東北大学大学院情報科学研究科教授、東京学芸大学大学院教育学研究科教授)は「これからWGに分かれて議論していくが、(義務教育WGと高校WGが)互いが見えるようにした方がよいのではないか。カリキュラムの柔軟化や個別最適な学びは高校の方が進んでいると思うが、それをどこまで義務教育で取り入れられるのかを検討するためにも、義務教育側でも知っておいた方がよい」と指摘。

荒瀬克己座長(独立行政法人教職員支援機構理事長)も「互いにどんな議論をしていくか、初等中等教育全体でもって考えていくことも非常に大事になってくる」と応じた。
(教育新聞)


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