集団生活になじめなかったり、通学できずにいる不登校の子どもらに居場所として校内の一室を開放する取り組みが片瀬中学校で行われている。「片中カフェ」と銘打ち、月2日、PTA関係者から成るボランティアが運営。不登校の子を持つ親の相談場所も兼ねており、関係者らは「生徒、保護者にとって心の支えになる場所を目指したい」と話している。
棚にはオセロやカードゲーム、畳の小上がりにはソファーが置かれ、開放中は誰でもがくつろげる。常駐するボランティアも、あいさつ程度で過度に干渉しないのが特徴だ。
運営するのは、同校のPTA経験者ら。主に6人が持ち回りで月に2回、午前10時から午後3時まで部屋を開放する。
背景には、全国的な不登校児童生徒の増加がある。藤沢市でも2019年度は696人だったが、翌20年度には756人に増加。不登校ではなくとも学校への行きづらさや居心地の悪さを感じる”予備軍”も一定数いるとみられ、各校で対応が課題になっている。
こうした状況を踏まえ、県内の高校での取り組みを参考に、同校の「心の相談室」を間借りする形で昨年7月にスタート。不定期ながら開催を続け、昨年度は17回を数えた。
実際、不登校とみられる生徒の利用は数人にとどまるが、「いざというとき逃げ込める場所があることが大切。先生以外にも頼れる場所があることが子どもたちの安心感につながるのでは」とボランティア代表の西永雄二さん(50)は指摘する。カフェは不登校の子どもを念頭に置いてはいるが、それ以外の誰でも受け入れるスタンスだ。
一方、開催の意義と感じるのが保護者へのケアという。「子どもが不登校になったことで責任を感じ、自らを追い込んでしまうケースが少なくない。同じ保護者だからこそ話せることもあると思う」。今年3月に開催した相談会でもそうした悩みを目の当たりにした。
学校側も保護者の参画を歓迎する。同校の湯山薫校長は「学校としても週2日、スクールカウンセラーを置いているが、悩みの受け皿がより広がる。また子どもたちにとっても多様な生き方を認めるきっかけになる」と期待する。
西永さんは「ここで全てが解決できるわけではないが、学校生活や別の支援団体につなぐ架け橋になれたら」と話した。
(タウンニュース)