HSC/HSPとは、「Highly Sensitive Child/Person(ハイリー・センシティブ・チャイルド/パーソン)」の略で、人一倍敏感な特性をもつ人を意味し、日本人の5人に1人はHSC/HSPの傾向があるという。
アダプティブな対話型のデジタル教材「すらら」を提供する株式会社すららネット(以下、すららネット)は、こうしたHSCの子どもとの関わり方に関する講座を実施。併せて、不登校の生徒がIT教材を使って自宅で学習し、それが出席扱いになる制度の説明をオンラインで行なった。
■制度の認知度は低いが、子どもたちの可能性を広げる「不登校生徒の出席扱い制度」
不登校生徒の出席扱い制度は、不登校の児童生徒が「すらら」などのデジタル教材を使って自宅で学習し、その学習活動を学校に出席扱いとして認めてもらうもので、平成17年度から始まった。しかし、「その認知度は低く、あまり活用されていないのが現状だ」とすららネットの「子どもの発達相談室」室長を務める佐々木章太氏は話す。
すららネットが、同制度への対応を始めたのは6年前。家庭学習にすららを活用していた子どもが、中2の時に、この制度を使って出席扱いになったことがきっかけだった。その生徒は中学では学校に復帰できなかったものの、高校入学後は登校を再開し、入学後の最初のテストでは満点をとったいう。
佐々木氏は「家庭でちゃんと勉強している努力を学校の先生も見てくれていることが子どもの背中を押してくれた、という話を保護者の方から聞き、不登校の生徒に対しては、保護者だけでなく、他の大人の存在が大きいとを感じた」と活動のきっかけを語った。
ただし、不登校での出席扱い制度を利用するには、①「文科省が定義する『不登校』に該当していること」、②「文科省の要件を満たした『状況』と『学習教材』であること」、③「学校が定義する『1日の出席条件』を満たすこと」、という3つのポイントを満たす必要がある。
1つめの文部科学省の定義は、同省のウェブサイト「不登校児童生徒への支援の在り方について」に明記されており、対象は小学生から中学生まで。「学校復帰を目的に、学習活動を応援する」制度であり、中学校では内申点対策にも活用できる可能性もある。ただし、3つめの「1日の出席条件」は学校がルールを設定するため、学校ごとに条件が異なる。
佐々木氏はこの制度について、これひとつで不登校の解決をめざすものではないと強調する。「子どもが不登校になったとき自暴自棄になったり、自己肯定感が崩れたりすることがあるが、その際、もう一度“自分を大事にする”意欲を醸成するために、この制度を使うことに大きな利点がある。プラスの感情につながる、ひとつのきっかけとして考えてほしい」と話す。